55.オーバーブッキング

2017年4月15日  先日アメリカの国内線で、何も悪いことをしていない乗客が無理やり飛行機から引きずり出されるという事件がありました。日本のメディアでは「定員超過」とか「オーバーブッキング」と書いてありました。でも正確にはオーバーブッキングではないですね。自社のパイロット2名とFAを2名(外国ではCA=Cabin Attendantとは言わず、Flight Attendantです)、彼らを他の空港に運ぶために4人の乗客に降りて貰いたかったようです。

会社は、400ドルとホテル代を出すので誰か降りてくれませんか?とアナウンスし、さらに800ドルに上げたけれど誰も応じなかったのでコンピューターでランダムに4人を選びました。3人はしぶしぶ降りたけれど、一人のアジア系の男性はお医者さんで、仕事があるからどうしても帰らなきゃならないと抵抗したため、航空保安官が男性を無理やり引きずり、彼は途中で座席の肘掛に顔をぶつけて血だらけになりました。前歯が2本折れ、鼻を骨折したそうですよ。回りの乗客からは「オーマイゴッド」と同情の声が上がり、その様子を撮影したビデオがyoutubeにアップされ、非難が殺到しています。

一人分くらいなら操縦室に予備の座席がある筈ですよ。パイロットの技量を査察する人や研修生が座る場所です。デッドヘッド(仕事のために移動する乗務員)のコクピットクルーをそこに座らせれば、怪我人を出すことはありませんでした。

オーバーブッキングは珍しいことではないのですが、乗客が飛行機に乗り込む前に解決されなければならず、一度乗った乗客を無理やり降ろすなんて聞いたことありません。会社は「ダイヤの乱れ」による乗務員の移動と言っているけど、どうだかねぇ。もしかしたら、4人の乗務員がステイ先で食中毒になったので交代要員が必要だったのかも?

2017年4月22日  先週の日記の続きです。事件を起こした航空会社は大手航空会社の子会社のコードシェア便(共同運航)で、運航していたのは子会社ではなく別の会社で、乗客として乗り込んだ乗務員もその別の会社の人達だったこと。怪我をした乗客は一度は800ドルの申し出を受けて飛行機を降りたけれど、自分が乗れるのは翌日の午後の便だと聞いて機内に戻ったので無理矢理降ろされたことが分かりました。航空会社は全乗客に払い戻しをしたそうです。

さて、私も2度ほどオーバーブッキングの現場に出会ったことがあります。一度目は日本の国内線で、飛行機に乗る前に「2万マイル差し上げますから、どなたか譲ってください」と言っていました。2万マイルというと無料で香港へ行けるマイル数です。手を上げたかったけれど、その時はまだ会社員で翌日は仕事でした。

2度目は、私自身が降りる対象になってしまいました。モントリオール空港でプリンスエドワード島へ行く飛行機の搭乗手続きをした最後の客だったからでしょうか、「いいでしょ?」というかんじで有無を言わさず近くのモンクトン行きになりました。そこから本来の目的地まではタクシー、お詫びのお金が一人100ドルで、旅行記にはこう書いています。「一度渡ってみたかった(本土と島を結ぶ)コンフェデレーション・ブリッジを走れるし、友人は左ハンドルの勘を取り戻すのに丁度良いと、航空会社の人の申し訳なさそうな顔に神妙に頷きながら、心の中ではニンマリしていたのでした。」

実になる情報。補償狙いでオーバーブッキングされたい場合には、チェックインをギリギリにすると良いとのことです。(笑)