アンカレッジの道標  

2.北廻り欧州線

アラスカの アンカレッジ を飛び立ってヨーロッパの各地へ行くには、北極海 の上を飛行するわけですが、3つのルートがあってそのうちのひとつが (めったにありませんでしたけれど) 北極の真上を通過するものでした。
アンカレッジ-ヨーロッパ 間は1年のうち半分が昼で、半分が夜になります。東京からアンカレッジまで7時間飛んで乗務員は交代。ここアンカレッジは、道標に書いてあるように air crossroads of the world で、 ヨーロッパへ行くクルー、帰ってきたクルー、ニューヨーク便のクルー、それから外国エアラインのクルーなど、ホテルには乗務員がうじゃうじゃいました。(北廻り便がなくなった今でも、この道標はあるでしょうか?

お客様には空港の待合室で休んで頂いている間に、機内では仕事の引継ぎや、食べ物の入れ替え、清掃などが行われます。アンカレッジを発つとそろそろ疲れが出てくるのに、明るくてはなかなか眠ることができません。
いつだったか、お仕事で一人旅の若い男性が手持ち無沙汰のご様子でしたので、「もうすぐ北極の真上を通過するんですけど、そこでは白熊が旗を振っているんですよ。」 と話し掛けましたら、「えっ、本当ですか? 見えたら是非教えてください。」 「冗談ですよぉ〜」 「ハハ・・・、なあんだ」 と2人の会話ははずみました。あの時もうちょっとプッシュしていたら、ロマンスが芽生えていたかしら・・・?
白夜、午後9時半
真冬のアラスカ上空ではしばしば オーロラ を見ることができました。目を覚ましておられる方に小声でご案内した後、私達も窓に額をくっつけて刻々変わるオーロラの姿に見入りました。こんなときはつくづく 「スチュワーデスになって良かった」 と思ったものです。(7月、白夜のアラスカ

ヨーロッパへ着くと、約1週間その地に滞在します。例えばアムステルダムへの便が週に2便だとすると、次に来た飛行機でパリへの 日帰りの仕事をし、その次の便で帰途へ着くので丸1週間の滞在となるわけです。マッキンリー山と氷河
右の写真はアラスカのアンカレッジを飛び立つと見える マッキンリー山と氷河。植村直己さんが遭難して行方不明になっている所です。

ジャンボジェットはパイロットを含めると乗務員が20人もいましたから、全員で行動する事は殆どなく、いくつかのグループに分かれます。
ある時、新人のスチュワーデスがどのグループにも入れてもらえず一人ぼっちになってしまいました。皆、他の誰かと一緒だろうと思っていたのですね。しばらくして彼女の姿が見えないのに気づき、様子を見に行ってみると・・・・  
部屋で壁をかきむしっていたんだそうです。
(T T)

これは先輩から代々語り伝えられている 伝説 です。こんなことになっては大変!と、新人のうちは先輩の後をせっせとついて回りました。
「お食事は何時にいらっしゃいますか、ご一緒させて頂いてもよろしいですか?」
ず〜と昔、私に少しばかり可愛げが残っていた頃のお話です。