31.Coffee, Tea or Me?
前回 「Around the World in a Bad Mood!」
について書きました。著者は元FA(現在の呼び名)で、彼女のお母さんも1950年代にスチュワーデス(当時の呼称)をしていたそうです。母親の時代は民間航空会社創業期であり、飛行機で旅をするのはごく一部の洗練された人々で、そういう乗客に対するためにロブスターテルミドールのサービスや丁寧な言葉遣いを学んだりしたけれど、白い手袋をはめる代わりにゴム手袋をし、手錠のはめ方やキレた乗客から身を守るすべを学ぶのが現代のFAのようです。
この本の中に 「Coffee, Tea or Me?」 が出てきたので30年ぶりに読み返してみました。二人のスチュワーデスにより書かれた、ということになっているこの本が流行ったのは1960年代後半から1970年代の前半にかけてです。「Around
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と共通しているのは、何人もの訓練生が一つの部屋で寝泊りすることと、一人前になってからも大勢のcrewと共同で部屋を借りることです。お友達のJackieさん(現役FA)も同じことを言っておられるので、アメリカでは今も昔もそうみたいです。
さて 「Coffee, Tea or Me?」 は私が読んだのは最初の4冊ですがもっとあります。しかし#4の内容はかなり怪しく (下記参照)、#5には二人の他にもう二人の男性著者名があるので(一人はゴーストライター専門)、元祖の著者は名前を貸しているだけのようです。それがどの本からなのか、最初の 「献納」 に彼の名前が出てくる#3からか…? #3はまるでピンク本なんです。(汗)
2002.11.29 30年前に買ったままの本が出てきたので、読んでいます。作者は当時のアメリカの航空会社の現役スチュワーデス2人。実際に経験したことかフィクションか分かりませんが、彼女達が乗務している時にハイジャックに遭遇しました。
ロンドンを出てニューヨークへ向かう飛行機で、ハイジャッカーは男一人。くるぶしまで届くレインコートを着て頭にはストッキング。100万ドル分のダイヤモンドを要求し、乗客には席を動かないように、スチュワーデスには通常通りに飲み物のサービスをするよう命じます。飛行機はワシントンへ臨時着陸して、そこで犯人ににダイヤモンドが手渡されました。再び離陸してニューヨークへ向かう時、ハイジャッカーは金髪のきれいなスチュワーデスに目を止めると服を脱ぐよう命じました。彼女は犯人の目の前で1枚、そして1枚と服を脱いでいき、一糸まとわぬ姿のままドリンク・サービスをさせられます。全ての乗客の目が彼女に集中し、作者の2人が次は我が身かとオロオロしている間に飛行機はニューヨーク空港に着陸しました。
ドアが開いて警察の人達が飛行機に入って来ると、素っ裸のスチュワーデスが泣き叫びはじめたので驚いた警察官が上着をかけてやり、彼女は自分の脱いだ服をかかえて一番最初に飛行機を降りて行きました。そしてそのまま二度と空の世界には戻ってきませんでした。
そしたら何と、犯人が消えてしまったのです。飛行機の中にいない!
ダイヤモンドもない!
衆人環視の中で逃げることはできないのでどこかに隠れている筈。全ての場所を探し、乗務員が調べられ、次に乗客を一人ずつ調べはじめた時に87Eの座席に座っていた男性が軽い心臓発作を起こし…
<続>
(ところで、当時のジャンボジェットに87Eの座席なんてあった?
何だか怪しいなぁ〜)
2002.12.7 心臓発作を起こしたビジネスマンは、地上で医師の診察を受けた後、大した事なかったのでそのまま帰宅しました。そして結局犯人とダイヤモンドは見つからず、ハイジャック事件は未解決になりました。ところが、主人公の2人が休暇を利用して香港へ遊びに行った時、ホテルのバーで消えたスチュワーデスを見たのです。豪華な服と宝石を身にまとい、ご主人らしき人と一緒・・・それが、あの87Eの乗客でした。
つまり彼等はグルだった!
乗客の目が一糸まとわぬ彼女に釘付けになっている間に、犯人は彼女が脱ぎ捨てた衣服の山の中にダイヤを隠し、何食わぬ顔で目立たない座席に座ったのでしょう。警察官が機内に入った時に全裸で泣いている女性を見つけたら、誰だって上着をかけてやりパトカーへ連れて行きますよね。その時に彼女は自分の衣服と共にダイヤを持って降りたのです。
大変、どうしましょ。このことを警察に言うべきか?
とんでもない!
証拠がある訳ではないし、笑われるのがオチです。そしてこのことが知れたらコンクリート詰めにされて、海の中へ放り込まれてしまうかも知れません。何せここじゃ、50ドルも出せばそれを請け負う人間はいくらでもいるのですから…(香港の人ごめんなさい、そう書いてあるんです。)
だったらこんな所は早く切り上げて、東京へ遊びに行きましょうよ。明朝出発するキャセイ航空のチャーター便があるから、ジョーに頼んで(タダで)乗せてもらいましょう。 てなワケでお終い、チャンチャン。
おいおい、ほんまかいな?
いくらキャセイのお偉いさんと知り合いだからって、他社の人間がそんな簡単にタダで乗せてもらえるかしらねぇ?
それに当時は日本−米国間では観光ビザが必要だったのよ。さてさて、この辺からだんだん怪しくなってきましたよ。著者は本当にスチュワーデスか? ま、飛行機には乗れたとしましょう。ビザも持っていたとしましょう。
でも【↓】は絶対ウソだ!
次の vacation
で彼女達はアイルランドを訪れます。そして着いた空港の免税店でセーターやツイードのスカートを買うのです。海外旅行をしたことのある方ならご存知でしょう。免税店で買物ができるのは出発する空港よね。到着した空港では買えません!
30年前にシリーズ本を4冊買って1冊目の 「Coffee Tea or Me」
だけ読み、続編は本棚の中に眠っていました。「面白い本よ〜」
と言って友達に薦めていたのに騙されていたのね。
あ〜あ、30年間信じていた私が馬鹿だった?
私の青春を返してーーー!