19.着物 dutyホノルル

マダム524 さんとは仕事をしていた時期が少し重なりますが、残念ながら面識はありませんでした。trinity さんとはかすった程度。(笑)
その彼女達でさえ知らない時代の古〜いお話です。着物 duty、彼女達の時代も着物は着ていたのですが、二分式の簡易着物になっていました。

月末に翌月の仕事の予定表が配られ、フライトナンバーの横に 「*」 がついていると、その人は 着物duty に指名されたことになります。
コンピューターがランダムに決めるので、着物が似合う人とかいっさい関係ありません。(^^ゞ

着物と帯(つけ帯)と専用スーツケースは会社で貸してくれますが、長襦袢と小物は自宅から持参。荷物が一つ増えて大変なんですよ! だけど、着物姿で外国の空港をちゃらちゃら歩いていると、これが結構な宣伝になるんですね。Oh, Beautiful って

日本を出る時は、搭乗前の準備はパス、あの狭いトイレに飛び込んで着替えます。汗だくになって、お化粧直しもそこそこに 「時間ですよ〜
外国ではホテルから着ていきます。着物を入れるスーツケースとハンドバッグと帽子を手に持って・・・ そしてお客様の食事が終わるまで着続けます。ふぅ〜

当然、飛行機の離陸時も和服を着ているわけです。飛行機事故の8割は離着陸の時に起こると言われています。着物なんか着ていては事故に対応できない!と組合が何度も何度も会社と交渉して、着替えるのは飛行機が離陸してから、その後、食事のサービスが終わってから、と徐々に縮小され今は着なくなりました。

        ロサンゼルス

羽田】 初めて機内で着物を着たのは、出発前のジャンボのトイレ。「まだ?」 男性アシスタントパーサーにドアをノックされ、「すみませ〜ん」 と泣きそうな悲鳴。。。3度目のノックでは 「もう ボーディング(搭乗) 始めるからね!」

25分くらいかかったかしらねぇ。お化粧がすっかり取れてしまっても、顔を作り直す余裕もなく、通路を歩いてこられるお客様を掻き分けてドアの所へと走ったのでありました。(^^ゞ

アンカレッジ】 2度目はニューヨーク便のDC-8です。羽田−アンカレッジ間では、ファーストクラス担当の先輩が優雅な身のこなしで仕事をしているのを、カーテンの隙間から見とれておりました。

アンカレッジのホテルで、翌日(アンカレッジ−ニューヨーク) の着物dutyに緊張する私を、先輩が自分の部屋に呼んでくれて着付教室を開いてくれました。この時はホテルから着て行ったので、幸い時間はたっぷりありました。この先輩とは以後一度もお目にかかることはありませんでしたが、今でもお名前は覚えています。

ハワイ】 ホテルで絽の着物を着て、ホノルル空港内を汗をかきながらしゃなりしゃなりと歩いて飛行機にたどり着いたら、故障のために出発が3時間遅れるとのこと。労働時間の関係 で、私達乗務員には空港内のホテルが用意されました。

仲間はレストランでおしゃべりしながらくつろいでいましたが、私は部屋へ入り着物を脱ぎ捨ててベッドにもぐりこみました。ドテー!
集合時間の30分前に起きて再び着物を着てロビーへ行くと、更に3時間の遅延確定 ムッとした私はチーフパーサーに宣言しました。
「今日はもう 着物は着ません !!」 またまた、ドテー!

ロンドン】 朝6時にホテルのロビーに集合。冬のロンドンは9時頃にならないと夜が明けないので、朝暗いうちから仕事に行くのはうら寂しいものがあります。

さてどこのホテルでも出発の1時間前にモーニングコールがありますが、この日はホテルのミスで電話がきたのは5時半! ロビーに下りて行くとキャプテンが言いました。「いやぁ、着物さんが遅れるんじゃないかと心配したよ」
なんのなんの 着物 duty は、ちゃんと4時半から起きてますわよ!

慣れてからは15分で着られるようになりました。^^