11.尊敬する先輩
【その1】 飛び始めてすぐの時、トイレがつまりました。昔のブルーの液体が流れていたあのトイレです。時間が経つとブルーではなくなり、茶色になるのです。何故だかお分かりですよね。(笑)
トイレ掃除は新人の役目。でもトイレが詰まった時の処理のし方までは訓練所で習っていません。それで外側からロックして使用不可にし、先輩に聞きに行きました。「トイレがつまっているんですぅ…」
私は教えてもらって、掃除をするつもりでいたのです。でもその先輩は、「あらそう」
と言って自分でささっとやってしまわれました。恥ずかしかったです。
その方は、後に巨人軍の○投手の奥様になられました。
「20.後輩」 で登場の 直弟子Tちゃん
は、↑の野球選手達が乗った飛行機で仕事をしました。
当時は、羽田−ホノルル−ロスアンゼルス
という飛行コースで、Tちゃんは
羽田−ホノルル間の仕事をし、ホノルルで乗務員交代して、後に奥様となられる先輩が乗り込んできて・・・・・なんですね。^^
Tちゃんもこの先輩のことは覚えていて、良い印象を持っているそうですよ。
コペンハーゲン |
【その2】 満席の時はてきぱきと仕事をしなければいけません。
ジャンボジェットには通路が2つあるので、飲み物や食事をサービスする場合、
「(両方の通路の)カートが並んでいないとみっともないですよ」
と訓練所で教わったものですから、新人の頃は先輩についていくのに必死でした。
お友達のお父さんが私の中学校時代の恩師だったという縁で、私のことを可愛がってくれた先輩がいます。ある時、彼女と同じコンパートメント(客室) を担当しました。私は、「お客様、お飲み物はいかがなさいますか?
かしこまりました。お客様は?」 とてきぱき(?)仕事をしていてふと隣の通路を見ると、先輩は私よりずっと後の方で、「・・・そうですよねぇ。」 とお客様とにこやかに話をしながら、ゆっくりと仕事をしていました。目から鱗の瞬間でした。(^^ゞ
後の方で待たされるお客様の心境はどうなんでしょう?
「無駄話はいいから、さっさと飲み物を配ってくれよ〜」
とイライラするでしょうか?
そしてやっと順番が来たら、自分より後の人のことは構わず話に興じたりして・・・
私が月に一度行く病院みたいに。(笑)
さてその先輩は幼稚園の先生になる夢をかなえるために退職されました。彼女のラストフライトの日、別の先輩と一緒に花束を持って空港でお出迎えをしました。国際線がまだ羽田だった頃の話です。